とんこつラーメンと漢方の意外な関係

薬膳では食材一つ一つに効能があって、その人に合ったものを食べると良いと考えています。
さて、人間誰しも年を取るものですね。最近はアンチエイジングなどと言われていますが、これは古代中国からずっと研究されていたテーマです。人はに母親か ら「先天の気」を貰い腎に宿して生まれてきます。食事や呼吸から作る「後天の気」と違って、先天の気は年齢とともに消耗していきます。それが「加齢による 症状」として現れます。髪が白くなったり、腰が曲がったり、歯が抜けたり、耳が遠くなったり、シワが増えるという現象を、「先天の気が減ったから」と考え ているのです。

それでは加齢による症状を防ぐにはどうすれば良いかといえば、腎を補えば良いのです！どうですか？アンチエイジングの秘訣がわかりましたか？これで皆さんもいつまでも若々しくいられるに違いありません！
で、じゃぁ何を食べれば良いのか？ですって？そうですよね(^-^) 具体的に言ってくれなきゃ困る！ということですよね？そこでとんこつラーメンが出てくるのです！
中医学や薬膳では、体の補いたいところがあった場合、動物の同じ場所の臓器を食べるのが最も効果的であると考えています。心臓が弱っていれば「ハツ」を、 肝臓が弱っていれば「レバー」を腎が弱っていれば「マメ」ですね。これらを焼き鳥屋やホルモンとして食べるのが最も効果があると思います。ゲテモノがダ メ！という人はすっぽんも良いですね。亀の甲羅は乾燥させて腎を補う生薬として使っています。
さてとんこつラーメンに使っている材料はどうかというと、まずスープに使う豚骨は、もちろん豚の骨です。骨の中の髄は腎と関係があり、腎から骨や髄や脳が生じると考えています。ですから、髄から取ったスープは腎を補うといえます。
トッピングに入っているきくらげ。これも腎を補う食材です。腎に入り血を補う効果があるので、アンチエンジングはもとより、日頃から血が少なくて冷え性、立ちくらみ、皮膚の乾燥、便秘などがある方には非常に有効です。
私はゴマをたっぷりかけて、紅生姜を沢山乗せて食べるのが大好きです。このゴマにも腎を補う効果があります。脾、肺、腎を補って、血をふやすさようがあり ます。ゴマの成分をサプリにしたメーカーもありますが、それだけ取っていれば良いというわけではなく、それが必要な人が摂取するのが良いですね。
紅ショウガも大切なトッピングです。ただ美味しいだけでは無くて、胃腸をよくしてくれます。腎が虚してくると消化に必要な熱量をまかなうことができず、消 化吸収が低下してきます。ひいては身体中の熱量が不足してきて、お腹を中心に冷えを訴えるようになります。生姜は胃腸を温め消化吸収を促進し、機を作る機 能を鼓舞してくれる重要な食材なのです。

さてここまでお読みの方は、もうとんこつラーメンを食べたくて仕方ないかもしれません。しかしちょっと注意していただきたい点があります。それは麺の硬さです。
細麺を固く茹でて食べるのが良いとする風潮があるのは私も知っていますし、昔はそのようにしていました。確かに固い麺をずずずっとすするのはとても美味し いですね。しかし消化吸収に関わる、胃腸のことをかんがえたら非常に負担がかかる食べ方であるという事を忘れないでください。口、特に歯で噛み砕くという のは、唯一の物理的に粉砕する行為なので、一度飲み込んでしまったら肛門から出るまで一度もできないのが噛むということなのです。噛まないで飲み込まれた 麺はどうなるかというと、消化液の入った胃袋という風船の中で攪拌されるだけなのです。これでは麺という物質に十分消化液を混ぜて科学的に分解するのは難 しくなってしまいます。中医学的に行っても、いくら気が充実していても、固いものを消化するのは負担が大きすぎます。ですので、麺は普通〜やわにしていた だき、十分に咀嚼して嚥下していただくとより一層健康になれます。

ということでここまでとんこつラーメンがいかにアンチエイジングに良いかというお話をしてきたわけですが、食事はあくまでも個人の好みもあります。嫌いな ものを食べ続けたらそれだけで嫌になってしまいます。また、体に良いからと行ってそれだけ沢山食べても身体を壊すだけですので、皆さんもよく運動をして、 良いものを食べる、そんん生活を送っていただけたらいいなぁと思います。

ところで群馬は美味しいとんこつラーメン屋がたくさんあるのを御存じですか？この話を書くとまた長くなりますから、またの機会に(^-^)